新谷 正嶺

SHINTANI A. Seine

2022年度採用

中部大学
生命健康科学部・生命医科学科 / AI数理データサイエンスセンター / 臨床検査技術教育・実習センター
准教授

研究領域:ライフサイエンス
ナノテク・材料
ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学)
自然科学一般
その他

専門分野

生物物理学
生理学
医工学
情報科学
顕微鏡科学

キーワード

心臓の生理学
収縮リズム恒常性
サルコメアカオス
電子顕微鏡ライブイメージング
病気前診断

所属学協会

米国生物物理学会
日本生物物理学会
日本生理学会
日本顕微鏡学会
日本時間生物学会
日本細胞生物学会
ナノ学会  

主な研究内容

概要:私は、ナノスケールの生体分子が頑強な心拍リズムを生み出す仕組みの解明という研究を一貫して進めています。自身が構築した実験系で、心筋は体温の熱を利用して、カオス的不安定性と恒常性的安定性を併せ持った収縮リズムを生み出すことを発見しました(図)。そしてその収縮リズム特性が、心臓の拡張毎の速やかな心室拡張に重要であるとの数理モデル予想を得ました。この成果から、心疾患の病気前診断・先制医療に繋がる可能性が強く示唆されており、現在、この出口指向性を有する研究も進めています。

熱筋節振動現象(HSOs):私は、心筋細胞を体温程度に温めることで、心筋細胞内部の筋節がペースメーカー細胞からの電気刺激とは独立に、心拍に近い周期で収縮と弛緩を繰り返す、熱筋節振動状態(HSOs)になることを世界で初めて発見しました(図)。興味深いことに、HSOsには、異なる周期の細胞内カルシウム濃度変化の影響を受けて振幅や波形を鋭敏に変化させるにも関わらず、周期を一定に保つ、収縮リズム恒常性が備わっていました(図)。さらに、HSOsは、この応答性と安定性を両立させるために、振幅や位相をカオス的に変化させていることも発見しました(図)。

電子顕微鏡ライブイメージング法(DET膜法):濡れた臓器などの液中試料の構造と「動き」をそのまま走査型電子顕微鏡で観察する技術を開発しました(図)。真空と大気圧の圧力差に耐えて破れず、電子線透過性と変形性に優れた薄膜(DET膜:Deformable and Electron Transmissive Film)を作製し、このDET膜で濡れた臓器などの観察試料を覆い、サンプルホルダとで密閉空間を作ることで、溶液に浸かった観察試料の微細な構造と「動き」の電子顕微鏡観察を可能にしました。様々なナノスケールダイナミクスの観察・計測実現に向けて研究開発を進めています。

 

論文

Seine A. Shintani., Seiji Yamaguchi and Hiroaki Takadama, Real-Time Scanning Electron Microscopy of Unfixed Tissue in Solution using a Deformable and Electron-Transmissive Film., Microscopy, dfac030, 2022.

Seine A. Shintani., Hyperthermal sarcomeric oscillations generated in warmed cardiomyocytes control amplitudes with chaotic properties while keeping cycles constant., Biochemical and Biophysical Research Communications, 611, 8-13, 2022.

研究紹介

researchmap https://researchmap.jp/Seine_A_Shintani

中部大学のインタビュー記事 https://www.chubu.ac.jp/chubuly-style/757/

NEDO 「官民による若手研究者発掘支援事業」(若サポ) 研究シーズ紹介 https://wakasapo.nedo.go.jp/seeds/seeds-1839/

最近の研究成果のプレスリリース1
生きた臓器細胞や生物の微細構造と「動き」を電子顕微鏡でそのまま観察する技術を開発 https://www.chubu.ac.jp/news/5561/

最近の研究成果のプレスリリース2
温められた心筋は安定性と不安定性を併せ持った収縮リズムを刻むことを発見 https://www.chubu.ac.jp/news/3240/

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