リハビリテーション医学
老年医学
メカノバイオロジー
整形外科学
システム生物学
飯島 弘貴[所属期間 令和4年4月-令和5年9月]
IIJIMA Hirotaka
2022年度採用
名古屋大学
高等研究院/大学院医学系研究科
YLC特任助教
研究領域:ライフサイエンス 情報通信
専門分野
キーワード
運動器
エクササイズ
加齢
細胞外基質
エピジェネティクス
所属学協会
日本理学療法士協会
日本軟骨代謝学会
世界関節症学会
主な研究内容
老化はヒトの各臓器の退行性変化をもたらす。中でも、骨格筋や骨、関節などの運動器における老化は、骨粗鬆症や変形性関節症といった運動器疾患を引き起こし、要介護状態を招く。これらの運動器疾患を予防し健康長寿を実現するため、私はリハビリテーション研究者の立場から、運動器、中でも関節軟骨の健康を維持する新規ヘルスケア開発を目指した老化研究を日米で行っている。
どのような分子メカニズムで臓器が老化し、加齢性疾患を引き起こすのか?そのメカニズムは未だ不明だが、メカノバイオロジー分野の発展により、加齢に伴う臓器の退行性変化は、組織の硬さ増大に起因する機械的シグナル伝達の変化によって少なくとも部分的に説明できると言われている。私も、当該研究領域を発展させるべく、データ駆動型アプローチと実験科学アプローチの統合的手法を用いることで、加齢に伴う組織の硬さ増大が、抗老化因子であるクロトー遺伝子のメチル化を誘発し、関節軟骨の老化を加速させることを明らかにした(Iijima H, OARSI 2020 Young Investigator Award; Iijima H, Nature Communications, Major revision)。この一連の研究成果は治療への応用が期待されることから、米国での特許取得に至った(Methods and materials for treating osteoarthritis; US Patent App 2021)。
上述の研究成果の下、私は、この臓器の加齢変化をエクササイズを中心としたリハビリテーションによって改善するというコンセプト、“Rejuvenative Rehabilitation”を提唱し、これまで未解決のまま残されていた加齢性疾患の病態解明やヘルスケア開発に向けた足がかりを現在までに掴みつつある(図)。これまでの概念から脱却した革新的リハビリテーションの創出が私のライフワークであり、“Rejuvenative Rehabilitation ”という新規学際領域の下での医工連携、産学連携、日米大陸間連携を推進することで、人類の老化に立ち向かいたい。
論文
Iijima H, et al. Age-related increase in matrix stiffness downregulates α-Klotho in chondrocytes and induces cartilage degeneration. bioRxiv 2021 (Nature Communications, major revision).
Iijima H, et al. Meta-analysis integrated with multi-omics data analysis to elucidate pathogenic mechanisms of age-related knee osteoarthritis in mice. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2022;glab386.
研究紹介
Schoen Adams Research Institute at Spaulding Rehabilitation Hirotaka Iijima profile (constantcontact.com)
researchmap https://researchmap.jp/iijimahirotaka
Google Scholar https://scholar.google.com/citations?user=XAQHfdwAAAAJ
本事業を通じて解決を目指す世界的課題
加齢性疾患をドライブするエピジェネティック制御機構の探求
老化は臓器の退行性変化をもたらし、種々の加齢性疾患を引き起こす。この老化という世界的課題に立ち向かい、健康長寿を実現するためには、老化がどのようなメカニズムで生じるのか、その普遍的理解が不可欠である。本プロジェクトでは、加齢とともに増大するとされる組織の硬さが、細胞にどのような生物学的影響を与えるのか、ゲノムワイドなシステムレベルでの俯瞰的理解を目指す。具体的には、組織工学、ゲノミクス、システム生物学の手法を駆使することで、加齢性疾患をドライブするエピジェネティクス制御機構の全貌解明に挑戦する。
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