田中 秀紀

TANAKA Hidenori

2022年度採用

中部大学
人文学部
教授

研究領域:人文・社会

専門分野

臨床心理学
遊戯療法

キーワード

遊ぶこと
事例研究

所属学協会

日本心理臨床学会
日本箱庭療法学会
日本遊戯療法学会
日本ユング心理学会

主な研究内容

遊戯療法で行われる遊びによって、なぜクライエントの心が変容していくのでしょうか?遊戯療法の治療的な効果について、それまでは無意識の象徴性の解釈などから説明がされてきていました。しかしながら、無意識の象徴性は自明のもの、当たり前のものとなっていて、遊びやその象徴性の中に、どのような動きがあるのかを捉えていないと思われます。そこで遊びの中で生じていること、つまり「遊ぶこと」を再度とらえ直そうとしました。
第一に、それまでの遊ぶことについて概観したところ、遊ぶことの意味は「カタルシス効果がある」「コミュニケーション機能」などといくつかの遊びの特徴を取り出し、分類されていました。この「分類する」ことそれ自体に問題があるとし、分類することは、それぞれをモノとして見なし、それをモノのように扱うことによって、それを並べているだけになっていると指摘しました。
 そこで第二に、遊戯療法の代表的な理論について「遊ぶこと」という観点から検討し直しました。まず、遊ぶことの形式的な特徴を捉え、遊ぶことはモノのように実体化できるものではなく、ある特徴をもった動きであるとしました。遊ぶことには内的な現実に深く入る動きと、「遊び」という形式によってその内的な現実を否定する動きが同時に生まれていると指摘しました。
 第三に、遊ぶことを遊戯療法の事例から内的な現実に深く入る動きとその現実を否定するという二つの動きを捉え直しました。そこでは、遊ぶことを通じてクライエントの身体像が生まれると同時に、否定を被る主体が生じていることが指摘されました。次に、遊ぶことで、クライエントは「生き生きと遊ぶ」ことから「生き生きと語る」主体を生み出すことを指摘しました。そして最後に、遊ぶことでクライエントが囚われていたものが対象化されることで、クライエントは距離を取って見ることができ、それこそが主体の動きであると指摘しました。

論文

田中秀紀、遊戯療法による不登校児の語る主体の生成過程, 箱庭療法学研究, 271,65-74, 2014

田中秀紀、遊戯療法による自閉症児の象徴化過程, 箱庭療法学研究, 252,3-11, 2012

研究紹介

中部大学ウェブサイト
https://www2.chubu.ac.jp/about/faculty/profile/2bd6e83c7c4bb6b6e59941676e6321fe185ed5ae.html?_ga=2.15637936.72701581.1657762708-611614694.1652162904

関連ニュース

  • 関連ニュースはありません