中村 紗都子[所属期間 令和4年4月-令和5年7月]

NAKAMURA Satoko

2022年度採用

名古屋大学
宇宙地球環境研究所融合研究戦略室
特任准教授

研究領域:社会基盤(土木・建築・防災) 自然科学一般 その他

専門分野

宇宙惑星科学
プラズマ物理
宇宙天気

キーワード

地磁気誘導電流
宇宙天気
磁気圏

所属学協会

地球電磁気・地球惑星圏学会
アメリカ地球物理学連合
アジア・オセアニア地球科学学会

主な研究内容

地球の周囲に拡がる磁場のつくる「地球磁気圏」は、太陽風や地球大気との相互作用によりダイナミックに変動しています。地球磁気圏は、我々の社会と接する宇宙空間であるとともに、唯一人工衛星による直接観測が可能な貴重なプラズマ環境でもあります。私はこの人工衛星や地上電磁場観測データの解析を通じて、磁気圏内で観測される多彩な電磁場現象の素過程解明をモチベーションとしてきました。

さらに従来の科学的関心に加えて、近年これらの電磁場現象が今後社会に及ぼす影響が次々と明らかになっており「宇宙防災」への貢献が求められるようになっています。現在は、太陽フレアが引き起こす電力網への被害(地磁気誘導電流Geomagnetically Induced Current; GIC)を対象としています。太陽フレアに伴い強い太陽風が地球に衝突すると、地球磁気圏中にリングカレント・オーロラエレクトロジェットなどの強い電流が発生します。これらの電流の作る電磁場擾乱が地上に伝搬し、送電線に通常とは異なる電流を流すことで電力網の誤作動や変圧器を損傷させる危険があり、これをGICと呼んでいます。私はデータ解析・シミュレーションを通じて、将来起こりうる大規模フレアのGICを予測することを目指しています。

論文

Nakamura, S., Ebihara, Y., Fujita, S., Goto, T., Yamada, N., Watari, S., & Omura, Y. “Time domain simulation of geomagnetically induced current (GIC) flowing in 500-kV power grid in Japan including a three-dimensional ground inhomogeneity”, Space Weather, (2018), 16, 1946– 1959. https://doi.org/10.1029/2018SW002004

研究紹介

researchmap https://researchmap.jp/satoko_nakamura

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

宇宙天気災害における地磁気誘導電流の日本電力網へのリスク評価

人類の宇宙進出・現代インフラへの依存に伴って、“1000年に一度の宇宙天気災害に現代社会が耐えうるのかという問題が明らかになりつつある。本研究では、太陽フレアによる宇宙天気災害の電力網への影響(地磁気誘導電流Geomagnetically Induced Current: GIC)に関して、自身の磁気圏物理の経験と、電力工学・海外のGICモデル研究など各分野の研究者の協力のもと大規模並列計算、観測データ解析、歴史文献にもとづいた激甚宇宙天気の再現を行い、そのリスク評価を行う。

インタビュー

  • インタビューはありません

関連ニュース