李 乃琦

LI Naiqi

2024年度採用

名古屋大学
高等研究院/大学院人文学研究科
YLC特任助教

専門分野

デジタル・ヒューマニティーズ
文献学 
日本語学
中国語学 
仏教学

キーワード

仏教辞典 
データベース
インド文化圏
漢字文化圏 
敦煌文献

所属学協会

東方学会
訓点語学会
日本中国学会 
日本印度学仏教学会
国際中国語学会

主な研究内容

仏典の翻訳が始まってから、約2000年が経った。しかし、翻訳された仏典は今なお、理解しやすいとは言えない。その原因として、仏典翻訳自体、重層的な事業である点が挙げられる。今日、完成された翻訳仏典だけが注目されるが、実は、翻訳事業の中では様々な関連資料が制作された。例えば、仏典の「文字」や「言葉」を翻訳・解釈・記録するための資料である。これを「仏教辞典」と言う。仏教辞典は、当時の仏教文化や歴史を知るための情報の宝庫である。
仏教辞典では、多数の仏教用語を取り上げ、様々な視点から注釈を施している。その記述形式は、各資料共通のため、構造的に比較研究が進めやすい。また、注釈内容には、各時代・地域・宗派ごとの違いも見られる。それゆえ、仏教辞典は様々な研究分野で研究され、個別の成果も上がっている。ただ、それらを横断し総合する仏教辞典そのものの研究は、まだ存在しない。
本研究では、世界各地に所蔵される仏教辞典を用いて、文献学・人文情報学・仏教学・中国語学・日本語学・敦煌学の各学術領域を統合した横断的な研究を行う。具体的には、「古代仏教辞典データベース」を構築・公開し、仏教辞典の集約的、総合的研究を推進する。その成果を集成することで、まず、仏教辞典による仏典翻訳史を解明するつもりである。最終的には、インド文化圏と漢字文化圏の交流・融合史の抜本的再構築を目指す。

論文

李乃琦、『一切経音義古写本の研究』(単著)、汲古書院、2021

 

研究紹介

名古屋大学研究者総覧 https://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/html/100013607_ja.html?k=李乃琦

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

文理融合研究に基づくインド文化圏と漢字文化圏交流史の再構築

ユーラシア大陸の東側、アジアと呼ばれる地域の文明は、主にインド文化と漢字文化の交流と融合によって、形作られてきた。本研究では、言語史料を研究対象とし、インド文化圏と漢字文化圏の交流と融合の歴史の解明という世界的課題に取り組む。
研究対象はインド文化と漢字文化の交流実態を、思想・文化・言語レベルで反映する古代仏教辞典を選定する。世界各地に所蔵される古代仏教辞典を調査・翻刻し、言語学・文献学・仏教学・敦煌学の各学術領域を統合した横断的な研究を行う。さらに、史料の伝統的な解読作業と、デジタル・ヒューマニティーズの最先端技術を組み合わせ、「古代仏教辞典の大型データベース」を構築・公開する。それらに基づく、学際的研究を推進し、インド文化圏と漢字文化圏の交流・融合史の抜本的再構築を目指す。

インタビュー

  • インタビューはありません

関連ニュース

  • 関連ニュースはありません