令和4年度研究成果エキシビジョン 技術アセットを有効活用した今後の産学連携

令和4年11月7日 13時~17時 名古屋大学 東山キャンパス物質科学国際研究センター「野依記念学術交流館」

このイベントは終了しました。
多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。

本事業のT-GExフェローとアソシエートが推進している先端研究に関しまして、これまでの研究成果および成果物を発表させていただき、幅広い参加者(異なる専門分野の研究者あるいは研究者以外の方)に研究の意義をご理解・共感いただくと共に、今後の発展に向けたアドバイスをいただくことを目的としております。また、今回の研究成果エキシビションでは、「“技術”アセットを有効活用した今後の産学連携」を開催テーマに掲げました。これまでは、大学からの技術シーズの提供に代表される「大学→企業」の連携が主流でしたが、企業が保有する技術(あるいは知見)アセットを大学の研究に取り入れる「企業→大学」の連携という視点を加え、双方向から今後の産学連携の在り方を考える機会としたいと思います。

このような主旨のもと学外より2名の講演者を御招きし、特定のアプリケーションやデバイスに特化した技術ではなく幅広く活用できる研究ツール(≒データサイエンス等)に注目した特別講演会を下記要領にて開催いたします。また、若手研究者間の相互交流から新たな共同研究や産学連携の可能性を検討することを目的に、ポスター発表会ではフェロー・アソシエートに加えて一部連携企業の若手研究者の皆様からも御発表いただきます。

PROGRAM

2Fカンファレンスホール(特別講演会場)

開会の挨拶

王 志剛(東海国立大学機構 岐阜大学 副学長)


特別講演01

基礎研究と製品開発のニーズとシーズ

講演者

岡田 康志 氏(理化学研究所・東京大学)

基礎研究成果というシーズが製品開発へと発展する “幸せな産学連携” はどのような条件で成立するのだろうか? 私たち自身の顕微鏡及び関連技術の開発での企業との共同研究・共同開発の経験を元に議論したい。

特別講演02

「裏」から眺めた人工知能ブーム ── 現在と近未来

講演者

井手 剛 氏(IBM T.J. Watson Research Center)

言語、画像、音声の分野での深層学習のブレイクスルーをきっかけに、AI (artificial intelligence) が一般メディアの話題になるようになってしばらく経ちます。この講演では最初にAIの研究史を概観し、2022年において米国で見ている現実を共有します。深層学習は、何かの終わりの始まりなのでしょうか。応用の現場にいる我々にとってその意義は何でしょうか。一時期喧伝されたAI脅威論は、2022年の現在、どう捉えればいいのでしょうか。これらの問いに個人的所見を述べた後、AIによる実世界モデリングの例を産業応用の観点から紹介したいと思います。

1F会議スペース(ポスターセッション会場)

ポスター発表

紙ポスターに加えて動画など展示品の御用意もありますので、オンサイトならではの深い議論を御楽しみください。


閉会の挨拶

門松 健治(東海国立大学機構 名古屋大学 副総長)

開催場所

名古屋大学 東山キャンパス
物質科学国際研究センター「野依記念学術交流館」
名古屋市千種区不老町 TEL:052-788-6121

キャンパスマップ野依記念学術交流館は「E3①」です。

会場内観

  • 1F会議スペース(ポスターセッション会場)

  • 2Fカンファレンスホール(特別講演会場)

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お問い合わせ

T-GEx事務局(名古屋大学内)

t-gex[at]adm.nagoya-u.ac.jp

※メール送信の際は[at]を@に置き換えてください。

ポスター発表題目・アブストラクト一覧 (五十音順、敬称略)

ポスター発表は3つのセッションに分かれて行います。

氏名(所属) 題目・アブストラクト
セッションA 15:10-15:40

新谷 正嶺

中部大学

心臓が体温で安定かつ効率的な心拍を刻む仕組みの解明と、溶液中で動く試料の電子顕微鏡ライブイメージング法の開発

発表者は、温めた心筋サルコメアで、カオス的不安定性と恒常性的安定性を併せ持った収縮リズムが顕在化することを発見した。さらに、その性質が心拍にとって重要であるとの示唆を数理モデル研究から見出した。現在、この事実に基づく心疾患の病気前診断実現のための基礎研究と、さらなる実験計測のための手段、溶液中で動く試料の構造と「動き」の電子顕微鏡ライブイメージング法の開発を進めている。

田村 秀希

豊橋技術科学大学

ヒト視覚系の質感認知とその計算モデル

ヒト視覚系は、物体がどんな材質か(例:金属製のスプーン)、物体がどんな状態か(例:光沢がある)を瞬時に判断できる。この物体の“質感”を認知する機能は、物体を触る・持つといった適切な身体運動に不可欠である。今回は、周囲の環境に依存してその見えが大きく変化する「鏡のように表面が磨かれた金属」と「透明なガラス」の2つの材質識別を例に、そのヒト視覚系の特性と、それを機械学習によって模擬した計算モデルについて報告する。

西川原 理仁

豊橋技術科学大学

多孔体・電気流体力学による先進輸送技術

熱エネルギーの有効利用、機械の電化、電子機器の高密度実装化などの要求によって、革新的な熱輸送、冷却技術が求められている。私はパッシブ、可動部がない、メンテナンスフリー、長寿命をキーワードとして、毛細管力、相変化、多孔体、電気駆動流動などに着目し、従来の機械式ファンではできない熱輸送技術の開発を行っており、その取り組みについて紹介する。

萩尾 華子

名古屋大学

マハゼの大脳内高次視覚回路の解明とウナギ仔魚の餌開発に向けた感覚器や脳形態の調査

効率の良い漁業と養殖業の推進を目指して、魚の視覚認知能力を神経科学的に解明する。マハゼの大脳内高次視覚回路が神経回路標識法により明らかになりつつある。これにより魚が飛びつく視覚刺激の探索が容易になり、魚の認知能力の理解を飛躍させることができる。また、ウナギ仔魚の成長に伴う眼球などの感覚器、脳の形態変化および発達度がわかった。さらに、全身の神経の可視化に成功した。これらの結果より、餌開発をする上で重要な手がかりや給餌方法の改善策が見えてきた。

服部 祐季

名古屋大学

免疫細胞ミクログリアが胎生期脳に定着するメカニズムの時空間的解析

脳には、神経系の細胞の他にも免疫細胞のミクログリアが存在する。近年、ミクログリアには遺伝子発現的に、そして機能的にも多様性があることが報告されている。しかし、いかにして多様性を獲得したのかは不明である。そこで我々は、ミクログリアが脳に辿りつくまでの経路や到着時期の違いが一つの要因になっている可能性を検証するため、ミクログリアの脳定着メカニズムについて時空間的解析を行ってきた。発表では、最新の研究成果について紹介する。

宮武 広直

名古屋大学

観測的宇宙論における機械学習の応用

観測的宇宙論は宇宙の観測データをもとに宇宙の成長を支配している物理法則を探る分野である。近年及び将来の観測計画では、その観測データの量は爆発的に増え、宇宙論的情報を最大限に引き出すために機械学習の応用が盛んに行われている。本発表では、近年の観測的宇宙論における機械学習の応用を幅広く紹介するとともに、現在我々が進めているT-GExにおけるプロジェクトの進捗状況の報告を行う。

廣瀬 和雅

愛知電機

高圧配電線用無効電力補償装置(A2-STATCOM)

近年、多くの太陽光発電や風力発電が配電系統に接続されている。その結果、高圧配電線(電圧6.6kV)の電圧が短時間で頻繁に変動する。これらの電圧変動に対する高速な電圧調整器として、高圧配電線用STATCOM(Static Synchronous Compensator)を製品化した。本装置は、低損失化するために。SiCパワーモジュールを使用している。また、瞬時複素交流理論(イデア理論)を用いたベクトル制御を採用し、高速な制御を実現している。

セッションB 15:40-16:10

市原 大輔

名古屋大学

衝撃波工学に立脚した医療・環境問題への挑戦

超音速飛行時に発生するソニックブームや爆弾の爆発時に発生する爆風など、大気中を伝搬する圧縮波の一種に「衝撃波」が挙げられる。衝撃波は波面の前後で流速および状態量が不連続に変化する非線形性を有しており、衝撃波の背後ではエントロピー増加による高温・高圧・高速状態ができる。本発表では非線形性を活用した研究成果を幅広く紹介するとともに、T-GExプログラムで取り組む「宇宙機再突入環境の模擬と宇宙ゴミ由来の大気汚染評価」についてその進捗を報告する。

平島 一輝

岐阜大学

新規の高活性呼吸鎖複合体I阻害剤ペタシンによる腫瘍増殖・転移阻害効果

ミトコンドリア呼吸鎖複合体I(C1)とがん代謝との関わりは有望な治療標的として近年注目されているが、従来の呼吸鎖複合体I阻害剤は、メトホルミンのように活性が極めて弱いか、ロテノンのように毒性が強い物質が多く、がん治療に応用できる物質は少なかった。今回我々は、植物抽出物スクリーニングから既存物質とは異なる化学構造を持つ新しい高活性呼吸鎖複合体I阻害剤としてペタシンを同定した。ペタシンは、従来型化合物であるフェンホルミンに比べて1700倍以上高い阻害活性を持ち、がん細胞が依存するエネルギー代謝を強く抑制することを明らかにした。複数の動物実験において、ペタシンは腫瘍の増殖と転移を有意に阻害した。また、既存の阻害剤が強い毒性を示すのに対し、ペタシンは正常組織に対する明らかな副作用を誘導しなかった。以上より、ペタシンは、1) 高いC1阻害活性、2) 低副作用、3) 腫瘍増殖と転移を阻害、 4)人工合成可能であることから、C1阻害を狙う新規リード化合物として有望と考えられる。

町田 奈緒士

名古屋大学

発達障碍とトランスジェンダーを共に生きること

近年、TGをめぐる国際的研究の文脈において、TGの人々に発達障碍(特に自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症)を有する者の割合が高いことが指摘され始めた。また、発達障碍を持つTGの人々にうつ病ならびに不安症の発症率が高いなど、二次障害の抱えやすさが報告されている。しかしながら、ジェンダーと発達両方の視座に立って、彼らの体験世界の様相を解明した研究はほぼ皆無である。本報告ではTGの人々へのインタビュー調査の分析と発達障碍についての文献調査をもとに、発達障碍を持つTGの人々の体験を分析するための示唆を得ることを目指す。

横井 暁

名古屋大学

EV解析による女性のトータルヘルスケア課題解決

ヒト体液中に含まれる細胞外小胞(EV)は、病態に応じてプロファイルが変化することが知られており、様々な応用が期待されている。女性の健康に関わる問題は大きく変化しており、様々なライフステージで生じる問題を、EVという観点から一元的に検討することで、その課題解決に貢献することを目的とする。血液や尿、卵胞液や羊水、癌性腹水など、課題に合わせた体液の解析を行い、実地医療へ貢献できる知見の集積を目指す。

Matthew Paul Su

名古屋大学

Elucidating the Aedes aegypti molecular circadian clock to develop new tools for mosquito control

Aedes aegypti mosquitoes transmit pathogens which infect hundreds of millions of people every year, making novel control methods with new targets desperately needed. The circadian clock has been highlighted as a promising target because it influences the timing and duration of many important behaviors, including feeding and mating.
Effective targeting of the clock however requires detailed knowledge of clock function and mechanisms, with this knowledge currently extremely limited. My research seeks to improve our understanding of the Aedes aegypti clock via mutant generation and quantification of resulting behavioral changes. Future investigations (via international collaboration) will utilise clock-targeting compounds to disrupt major behaviors in the lab and semi-field.

田中 秀典

豊田中央研究所

制限酵素を用いたゲノム再編成システムの開発とその応用にむけて

ゲノム進化のプロセスにおける大規模な再編イベントを人工的に誘発するシステムとしてTAQing システムと拡張 TAQing (Ex-TAQing) システム、2 種類の大規模なゲノム再編成システムを開発している。細胞内で制限酵素を発現させ一過性のDNA二本鎖切断(DSB)を誘発することにより、ゲノムの再配列を引き起こすことができる。TAQingシステムでは,TaqIを用い,37-42℃でゲノムの特定配列(5′-TCGA-3′)でDNAを切断させた。TAQingシステムを生体内で活性化するためには、熱処理が必須であるが、植物種によっては開花期に大きなダメージを与えることがある。この欠点を克服するために、我々は、植物が通常生育する常温域で酵素活性を有する制限酵素をより広範囲に使用できるEx-TAQingシステムの開発に着手している。その中でも、MseIはin vitroで5′-TTAA-3′配列のDNAを効率よく消化し、植物を用いたin vivoアッセイ系でも22℃から25℃の室温でゲノム再編成を誘導することが確認されたため、Ex-TAQingシステムで使用することにした。また、次世代シークエンス解析により、再配列部位が両系統の制限酵素の認識部位の近傍であることが検証された。さらに、ストレス耐性やバイオエタノール生産などの有用形質についてスクリーニング試験を行った結果、我々のゲノム再編成が有益な表現型を持つ変異体の大量生産に寄与することが示された。

蓑谷 顕一

デンソー

「主要情報記憶−細部制約付き探索」による軌道計画の高速化

ロボット軌道生成の代表的な手法の一つである探索ベース手法はランダムサンプリングを基本としている為、リアルタイム性(処理時間)が課題である。一方近年、超高速に近似解を生成可能な学習ベース手法が注目されているが、レイアウト含むロボットの膨大な動作パターンをニューラルネットワークに記憶させることが困難な為、実用化に至った例は極めて少ない。そこで本研究では階層構造の導入による状態数削減と、幾何計算と探索による衝突回避機能の外部実装により上述した問題を解決可能な主要情報記憶−細部制約付き探索を提案し、6軸ロボットでその有効性を確認した。

セッションC 16:10-16:40

東 直輝

名古屋大学

マイクロ流体デバイスを用いた大分子量DNAなどバイオ分子の高速分析

病原細菌の遺伝子解析技術は、細菌の感染経路の特定などに有効に用いられてきた。遺伝子解析技術には、通常、ゲルの網目構造を分子ふるいとして用いたゲル電気泳動法が用いられてきたが、細菌のDNAレベルの一万塩基対以上の大分子量DNAにおいては、分析に数日を要していた。本講演では、微細加工技術を用いて微小流路内にマイクロ・ナノスケールの微細構造を形成したマイクロ流体デバイスと、流路内の泳動制御を組み合わせた大分子量DNAの高速分析について紹介する。

飯島 弘貴

名古屋大学

“Exercise as a Rejuvenative Medicine”を支えるサイエンスへの挑戦

老化はヒトの各臓器の退行性変化をもたらし、種々の加齢性疾患を誘発する。私は、細胞や組織の生物学的老化を制御し、超高齢社会を健康長寿社会へとするべく、医療機関での実務経験の下、自身のバックグランドであるリハビリテーション科学の観点から、加齢医学や分子生物学、計算科学などの異分野に切り込みことで新たな研究領域を切り開いてきた(飯島、実験医学2019)。これまで取り組んできた一連の研究のなかで、私は、加齢に伴う組織の物理特性変化が、異常なメカニカルシグナル伝達を引き起こし、運動器疾患である変形性関節症の発症に関与することを明らかにした(Iijima H, Nat Commun; Major revision)。本知見は、加齢に伴う異常なメカニカルシグナルの制御が、変形性関節症ひいては多くの加齢性疾患の新規治療標的となる可能性を示唆している。近年では、エクササイズに関する生物学的解析が進み、上述のような細胞や組織、臓器の加齢変化を抑制するRejuvenative Medicineとしての役割が着目されるようになった。私自身も、データ科学駆動型アプローチと実験科学アプローチを組み合わせることで、エクササイズが加齢に伴う異常なメカニカルシグナル伝達を制御し、細胞の加齢変化を抑制する可能性を見出すなど、これまで未解決のまま残されていた老化制御の課題突破に向けた足がかりをつかみつつある。

桑原 大介

中部大学

広周波数帯域をカバーするマイクロ波/ミリ波計測器開発と応用

数GHzから100 GHzに渡る広帯域においてスーパーヘテロダイン方式のマイクロ波・ミリ波計測器を開発している。特徴としては非接触計測、高速計測、高感度位相計測が可能なことである。発表者が採用している周波数逓倍型送受信機は、ミリ波帯域でも送受信機への入出力は取り回しが容易な同軸線の使用が可能、コンパクト、安価といった特徴を備えている。現在は核融合プラズマや電気推進機プラズマの計測に利用しているが、その他にもマイクロ波と相互作用をする物質・現象への展開を検討している。

田中 秀紀

中部大学

心の運動としての「遊ぶこと」

遊戯療法での遊びによって、なぜクライエントの心が変容するのでしょうか?従来は「カタルシス効果がある」「コミュニケーション機能」と遊びを分類するだけで留まっていました。遊戯療法の理論と事例から「遊ぶこと」という観点から検討しました。遊ぶことは、ある特徴をもった運動であり、そこには内的な現実に深く入る動きと、「遊び」という形式によってその内的な現実を距離を取って否定する動きが同時に生まれていると指摘しました。

近澤 未歩

名城大学

食事が抗体レパトアに及ぼす影響の解析と健康効果の検証

抗体は感染症の予防などに寄与する免疫分子である。生体では様々な抗原に対する抗体が常に産生されており、多様性を持った集団(抗体レパトア)を構成している。食事をはじめとする様々な要因が抗体レパトアに影響を及ぼすと考えられており、疾患との関わりも予想される。腸管や血液中における抗体レパトアについて、食品成分による影響を解析することにより、食事が健康維持や疾患の発症・予防に及ぼす効果や、その作用機構の解明を目的として研究を行なっている。

高橋 一輝

デンソー

車載用燃料電池の作動温度向上を志向した配位高分子型電解質材料の開発

近年、車載用燃料電池の作動温度向上によるセルスタック・熱制御系の大幅な簡素化・コストダウンに注目が集まっている。しかし、従来の燃料電池に用いられている水を媒体とするフッ素系固体高分子型の電解質材料は100 ℃以上にすると水が蒸発することでプロトン伝導率が著しく低下する。100℃以上という車載用燃料電池としては未踏の環境下において高いプロトン伝導率を達成するためには、水に頼らない新たなプロトン輸送メカニズムの開発とナノレベルでの分子設計および構造解析が必要である。当社では、この課題の解決を目指して、金属と配位子からなる配位高分子ガラスを開発している。当日はこれまでの研究成果について紹介する。

古田 芳一

北海道大学
現:豊田中央研究所

ザンビアで分離された多剤耐性腸内細菌科細菌および炭疽菌のゲノム解析

近年のゲノム解析技術の発展により、細菌の高品質な完全ゲノム配列を簡単にかつ低コストで得られるようになった。病原性細菌の完全ゲノム配列の比較解析により、株間の遺伝的多様性や地理的分布を詳細に解析することが可能となり、現在では疫学解析の重要な手法となっている。本発表では、細菌の完全ゲノム配列の取得および比較解析を、ザンビア国にて分離された多剤耐性腸内細菌科細菌と炭疽菌に適用した例について紹介する。