石田 崇人

ISHIDA Takato

2026年度採用

名古屋大学
大学院工学研究科
物質科学専攻
助教

専門分野

材料時間学
高分子劣化学 
建築・建設材料

キーワード

不均一劣化
超耐久高分子材料 
非エルゴード性
反応性粗視化分子動力学
レオロジー

所属学協会

マテリアルライフ学会
高分子学会
日本レオロジー学会
日本建築学会
日本ゴム協会

主な研究内容

私は「材料」×「時間」をキーワードに研究をしています.環境問題への関心が高まる中,「いろんなプロダクトをできるだけ長く使おう」というメッセージは広く浸透しつつあるように思います.長く使われる材料が時間の経過とともにどのように性質を変えていくのか,その変化はモノを使う主体にとって望ましいものなのか否か――このような,いわば材料が経験する時間の科学が,私の興味の中心です.
その中でも,高分子材料(プラスチック)の劣化現象には特に力を入れて取り組んでいます.近年では,石油化学資源の有限性を背景として,高分子材料の長期利用と循環利用に対する要請がますます高まっています.高分子劣化の科学は,資源制約と循環経済の時代における社会課題の解決を支える基盤的な学問領域であり,今後も我が国の産業と社会を支える不可欠な分野であり続けると確信しています.これまでは,劣化現象の学理構築を主眼として研究を進めてきましたが,今後はその知見を基盤に,使用期間中に物性低下を生じない,あるいは最小限の保全介入によって性能を維持できる超耐久高分子の実現を目指します.
最近では,高分子の劣化・分解過程で生じるラジカル輸送ダイナミクスを明示的に取り込むことのできる分子シミュレーション技法を独自に開発しました.その結果,プラスチックの劣化は空間的に不均一に進行することを明らかにしました.このように局在化した劣化領域に対して,分子サイズや動力学を精密に制御した安定剤分子を選択的に作用させることができれば、高分子材料の劣化を大幅に抑制できると考えています.こうした設計概念を実現へとつなげるため,産学連携を幅広く展開していきたいと考えています.
超耐久高分子材料は,高効率な資源循環や環境影響の最小化に資するだけでなく,メンテナンスが困難で,かつ過酷な環境で使用される用途においても極めて有効です.たとえば,宇宙衛星搭載用高分子材料,原子力発電所向けケーブル,地中埋設パイプなどへの応用も想定しています.これらのような極限環境下での劣化現象に対しても「劣化の学理」を拡張し,貢献していきたいと考えています.

 

論文

Takato Ishida, Yuya Doi, Takashi Uneyama, and Yuichi Masubuchi, “Modeling for heterogeneous oxidative aging of polymers using coarse-grained molecular dynamics”, Macromolecules, 56, (2023) , 21, 8474-8483.

Takato Ishida and Emmanuel Richaud, “Coarse-Grained Molecular Dynamics Simulations of Oxidative Aging and Stabilization in Polymer Melts with Primary Antioxidants: Effects of Antioxidant Concentration and Molecular Architecture”, submitted to Journal of Vinyl and Additive Technology (2026), vnl.70104. https://doi.org/10.1002/vnl.70104.

研究紹介

https://takato-ishida.jp/

https://researchmap.jp/takato_ishida?lang=ja

https://rheology.jp/nagoya/

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

劣化起点の循環破綻と環境散逸を断つ超耐久高分子の設計原理

プラスチックの資源循環および環境負荷低減は,世界的な急務です.しかし,リサイクル可能な高分子や環境適応型プラスチックを用いる場合であっても,実使用に伴う劣化を避けることはできません.実は,高分子材料の劣化はリサイクル効率の低下を招くだけでなく,生態系への影響が懸念されるマイクロプラスチックの放出を加速させることが指摘されてきています.したがって,劣化を最大限抑制することは,プラスチックの資源価値を長期にわたり維持するうえで最も重要な方策の一つです.本研究では,産業界と連携しながら,劣化の学理に立脚した超耐久高分子の設計指針を材料設計へと落とし込み,社会実装への道筋を描きます.

インタビュー

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