デジタル・ヒューマニティーズ
文献学
インド哲学・インド文学
南アジア研究
谷口 力光
TANIGUCHI Chikamitsu
2026年度採用
名古屋大学
高等研究院/人文学研究科
YLC特任助教
専門分野
キーワード
ヒンドゥー法
アクターネットワーク理論
Linked Data
知識ネットワーク
所属学協会
日本印度学仏教学会
インド思想史学会
American Society for Premodern Asia
Canadian South Asian Studies Association / Association canadienne d’études sud-asiatiques
主な研究内容
私の研究は、近代南アジアにおいてヒンドゥー法がどのように構築され、再編されてきたのかを、文献・制度・実践の相互作用から明らかにすることを目的としている。主な対象は、サンスクリット語で書かれた法文献、注釈、法的意見書、英語その他の近代諸語による裁判記録、植民地期・近代期の歴史資料であり、とくに伝統的な法学知識が近代的な司法制度や地域社会の実践とどのように接続し、変容したのかに関心をもっている。これにより、ヒンドゥー法を固定的な体系としてではなく、複数の主体や媒体の関係のなかで形成される動的な知の営みとして捉え直すことを目指している。
方法論としては、文献学を基盤としつつ、インド学・南アジア研究の視点に加え、知識社会学やアクターネットワーク理論も参照している。これにより、個々のテキストの解釈だけでなく、法的知識がどのような教育的・制度的・社会的条件のもとで生み出され、流通し、受容されてきたのかを多面的に分析することが可能になる。とりわけ、こうした文献学的・知識社会学的研究を支える基盤として、Linked Data を用いた知識基盤の構築にも取り組んでおり、人物、文献、法概念、地理情報、組織、テキスト断片などを相互に関連づけることで、従来は個別に扱われがちであった史資料群を接続し、法知識の形成過程を可視化・再検討することを目指している。これは、法知識の形成過程をより関係的・横断的に捉えるための方法的な試みであると同時に、学術知への開かれたアクセスや国際的共有を促進することも目指している。
T-GExフェローとしては、こうした文献学・知識社会学・デジタル・ヒューマニティーズという三つの方向性を往還しながら、ヒンドゥー文化をめぐる知の複雑な形成過程をより立体的に描き出し、南アジア研究・法史学・人文情報学を横断する学際的研究へと発展させていきたい。

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論文
TANIGUCHI, Chikamitsu. 2023. “Complicating Taxonomy of Sons: Aurasa, Anulomaja, and Śūdrāputra.” Studies of Buddhist Culture 23: 112–140.
研究紹介
本事業を通じて解決を目指す世界的課題
ヒンドゥー知識ネットワークに関する学術知の可視的公開基盤構築
本課題が取り組む世界的課題とは、歴史的・学術的に検証可能な知識が、現代の情報環境のなかで十分に可視化されず、断片的かつ単純化された形で流通・消費されてしまうという構造的問題です。とりわけ南アジアに関する宗教・法・文化をめぐる知識は、政治的・社会的文脈とも結びつきながら、しばしば歴史的に複雑な構築過程への理解を欠いたまま受容されています。本研究は、そのようなヒンドゥー文化をめぐる知を対象に、批判的に検証可能な知識基盤を構築し、学術知への開かれたアクセスと国際的共有に貢献することを目指しています。これにより、いわゆるファストナレッジを相対化し、検証可能な知識へと接続するための知的負担を軽減することも期待されます。
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