髙橋 香苗

TAKAHASHI Kanae

2025年度採用

名城大学
人間学部
助教

専門分野

家族社会学
社会調査法

キーワード

家族
子育て
ライフコース選択
役割葛藤
若者文化

所属学協会

日本家族社会学会
家族問題研究学会
国際ジェンダー学会
関東社会学会
東海社会学会

主な研究内容

「母親らしい」とはどういうことだろうか。私はこれまで、ギャル系のファッションを好む母親、いわゆる「ギャルママ」を研究対象として、現代社会における母親規範の問い直しを試みてきた。ギャルママは日本における母親らしさとは一線を画す存在としてまなざされてきた。私の研究は、言い換えれば、異質視された存在から社会における規範的なイメージを逆照射するという試みである。

ギャルママの語りやギャルママ雑誌の分析からわかったことは、一見すれば既存の母親規範から解放されて自由に生きているギャルママたちも、実のところ母親規範を内在化し、それを参照しながら母親としての役割を引き受けていることだ。日本社会において、母親は子どものために尽くすべきだという規範意識は依然として根強いのである。

これまでの研究から得られた知見から、いくつかの研究課題が導かれる。たとえば、自立プロセスの問い直しである。ギャルママたちには、早期の離家(親元を離れて暮らすこと)や家族形成(結婚や出産をすること)を希望する一方で、学校から就職への移行という点についてはキャリア形成に対する意識もそれほど強くないという共通点がみられた。既存の自立研究は主に学校から仕事への移行に焦点を当てるものが多く、長期にわたる自立プロセスやその多様性は十分に検討されているとはいえないのが現状である。今日は社会経済的な状況から自立が困難になる若者も多いことから、こうした自立プロセスの解明は重要な課題だ。

あるいは、過去の学校経験と子育て実践の関連である。ギャルママたちは、自分自身が学校に馴染めなかったという経験から学校教育や学校文化に対して否定的な意識をもち、それは子どもの子育て実践にも反映されていた。過去にどのような経験をした人がどのような親になるのかという問いもこれまであまり考えられてこなかった。これらを解明していくと、子育てや教育における意識と実践の違いを経済的な背景だけではなく、別の側面から説明することが可能になるかもしれない。

論文

髙橋香苗,ギャルであり、ママである――自分らしさと母親らしさをめぐって,晃洋書房,2024

Kanae Takahashi, Being a Gal and a Mother: Conflicts of Selfhood and Motherhood, Koyo Shobo, 2024

研究紹介

Researchmap https://researchmap.jp/kanae_takahashi?lang=ja

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