市原 大輔[所属期間 令和4年4月-令和6年3月]

ICHIHARA Daisuke

2022年度採用

名古屋大学
工学研究科
助教

研究領域:フロンティア(航空・船舶)

専門分野

圧縮性流体力学
プラズマ物理学
推進工学

キーワード

衝撃波
高エンタルピー流れ
低温プラズマ
電気推進機

所属学協会

日本航空宇宙学会

主な研究内容

私はこれまで宇宙推進機の一種である電気推進機(推進剤を電離させて生成したプラズマを噴射しその反力で推進する)に関する研究に取り組んでまいりました.その中で既存の方式融合した新たなプラズマ加速方式を提案し実験によってその優位性を実証してきました.これと並行して圧縮性流体力学の研究にも取り組み,電磁力を用いたタービンレス昇圧機や超音速流れの境界層制御,火星着陸用超音速パラシュートの自由飛行実験,レーザー光を活用した宇宙ゴミ除去などの研究に従事すると共に,ブラスト波(=爆風)を介した電気運動エネルギーの非定常変換にも取り組んでおります.これら一連の研究活動は航空・宇宙工学の広範囲をカバーしており,推進工学,プラズマ物理学,超音速流体力学といった分野間の境界領域に位置する「極みの流体力学」を構築してきました.複数分野にまたがる学理の探求は,その適用範囲もまた広範囲にわたり,「衝撃波工学」をキーワードとした異分野連携研究として,技術シーズと現場ニーズとがマッチする医療分野への展開を進めています.具体的には,①セルフメディケーションを促進する針なし注射器の開発や低侵襲かつ効果的な偽関節治療法の新規確立といった医工連携研究を工学部×医学部の研究者による学内共同研究を始め国内企業との共同研究としても取り組んでいる最中です.

 

論文

D. Ichihara et al., “Electrostatic–magnetic hybrid ion acceleration for high-thrust-density operation,” J. Appl. Phys. 130, 223303 (2021).

D. Ichihara et al. “Energy conversion efficiency of electrical exploding foil accelerators,” AIP Advances 11, 095203 (2021).

研究紹介

researchmap    https://researchmap.jp/7000027035

研究室ウェブサイト http://akagi.nuae.nagoya-u.ac.jp/

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

宇宙機再突入時の排気物に関する国際規制基準の欠如

運用終了した宇宙機などの宇宙ゴミを大気圏に再突入させ焼却処分する場合,アルミを主成分とする大量の微粒子が発生します.この宇宙ゴミ由来のエアロゾルは太陽光の異常反射による降水分布の変化やオゾン層の接触分解による健康被害を引き起こし,地球大気の不可逆的な変化を通じて未来世代の気候危機を増大するものと懸念されています.そこで本研究では地球大気のレジリエンスを考慮した持続可能な宇宙開発の実現を最終目的とし,その際に必要となる国際規制基準の制定に向け,異分野の知見を連携した科学技術ガバナンスの提言を目指します.

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