伊吉 祥平

IYOSHI Shohei

2024年度採用

名古屋大学
高等研究院/大学院医学系研究科
YLC特任助教

専門分野

産婦人科学
癌生物学
ケミカルバイオロジー

キーワード

婦人科腫瘍
卵巣癌
脂肪細胞
女性医学

所属学協会

日本産科婦人科学会
日本婦人科腫瘍学会
日本生殖医学会
日本女性医学学会
日本癌学会
日本癌治療学会
日本抗加齢医学会
日本がん・生殖医療学会

主な研究内容

 

 

卵巣癌は婦人科腫瘍領域における最も予後不良な癌種の一つで、貯留した腹水を介して、大網や腸間膜などの腹腔内脂肪組織に腹膜播種という特徴的な二次性転移巣を形成し進展していくという性質を有しています。播種巣において卵巣癌細胞は、脂肪細胞や腹水と相互作用して薬剤耐性や転移に必要なエネルギーを獲得し、全身への播種に向けた基盤を構築すると考えられていますが、その全体像の詳細な解明には未だ至っていません。私はこれまでに、腹膜播種微小環境における脂肪細胞と卵巣癌細胞のクロストークに着目し、大網脂肪細胞の脱分化という播種の進展に寄与する新たな分子メカニズムを明らかとしました。また、東海地方の卵巣癌症例を解析した臨床研究から、肥満が卵巣癌の腹膜再発におけるリスク因子となることを見出しました。
癌細胞の転移については、癌種ごとに転移しやすい部位が決まっていることが知られています。これは、植物の種をいろいろな場所に蒔いた際、適した土壌でのみ発育・成長することができることと似ており、このような考え方を「seed and soil theory(種と土壌説)」といいます。これまでの癌治療は主に“種”である癌細胞をターゲットとしたものが主となっていましたが、私の研究では、卵巣癌細胞・脂肪組織・悪性腹水間の相互作用が織りなす卵巣癌促進的“土壌”としての腹腔内エコシステムの本質に迫り、その治療標的化を目指しています。

論文

(1) Iyoshi, S. et al. Pro-tumoral behavior of omental adipocyte-derived fibroblasts in tumor microenvironment at the metastatic site of ovarian cancer. Int. J. Cancer 149, 1961–1972 (2021)

(2) Iyoshi, S. et al. Obesity contributes to the stealth peritoneal dissemination of ovarian cancer: a multi-institutional retrospective cohort study. Obesity 30, 1599–1607 (2022)

研究紹介

researchmap https://researchmap.jp/iyoshi

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

リポクオリティから解き明かす痩せ/肥満とウィメンズヘルス 

過度なストレスや不規則な生活スタイルが蔓延する現代社会において、肥満や痩せ過ぎによる健康リスクへの対応が重要性を増してきている。肥満が乳癌、子宮体癌などのリスクを増加させるととともに、分娩リスクの上昇にも寄与することが知られている一方、若年者の「痩せ」が将来的なリプロダクティブ・ヘルスに与える影響も問題視されている。多くの国において、最大の潜在力となっている「女性の力」が十分に発揮されるような社会を構築するにあたり、その妨げとなりうる「痩せ・肥満による女性特有のヘルスケア」諸課題に取り組むことは重要な意義を有する。
痩せ・肥満は脂肪組織における脂肪細胞の縮小・肥大によって引き起こされる。脂肪細胞を構成する脂質分子の質的変化は「リポクオリティ」の変化と呼ばれ、近年各種疾患におけるその役割や意義の解明が注目を集めている。本課題では、臨床婦人科学におけるリポクオリティ変化の意義について、ケミカルバイオロジーやマルチオミクスといった多角的アプローチからの解明を試みる。

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