大鐘 雄太

OGANE Yuta

2023年度採用

南山大学
経済学部
准教授

専門分野

銀行論
起業論

キーワード

企業金融
起業金融

所属学協会

日本経済学会
日本金融学会

主な研究内容

私はこれまで、新規開業企業の資金調達に関する研究を行ってきました。

たとえば最近では、起業家の人的資本が新規開業企業の資金調達に与える影響について分析しました。起業に関する近年の研究では、事業機会を追求するために起業した「事業機会型の起業家」と、起業以外に選択肢がないために起業した「生計確立型の起業家」との違いに着目した分析が一つの流行となっており、一連の研究では、後者の起業家は前者の起業家よりも資金制約に直面しやすいことが指摘されてきました。しかし、これらの研究では、起業家の資金調達に重要な影響を与える別の要因である起業家の人的資本が考慮されてこなかったため、資金調達における起業家のタイプ(事業機会型か生計確立型か)と人的資本との関係は明らかになっていませんでした。

そこで、起業家のタイプと人的資本という2つの要因を統合し、両者のうちどちらが資金調達により大きな影響を与えるかについて実証的に分析しました。分析の結果、人的資本の水準が高い生計確立型の起業家は、人的資本の水準が低い事業機会型の起業家よりも資金調達の満足度が高いという結果が得られ、起業家の資金調達における人的資本の重要性が改めて確認されました(Naiki and Ogane 2022)。

 

論文

Naiki, Eriko, and Yuta Ogane, “Human capital effects on fundraising for necessity- and opportunity-based entrepreneurs,” Small Business Economics, 59(2), pp.721–741, August 2022.

研究紹介

researchmap https://researchmap.jp/1000070801968

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

新規開業企業の金融円滑化の実現

本事業では、新規開業企業の金融円滑化を実現するための知見を得ることを目指します。フィンテックに代表される近年新たに登場した金融技術は、企業の資金調達手段の多様化をもたらしました。一方で、これらの技術の普及によって、資金調達に成功する企業とそうでない企業とがこれまで以上に明確に区別されるようになり、その傾向はとりわけ新規開業企業で顕著にみられています。起業はイノベーションや雇用の創出という点で大きな役割を果たすこと、起業の成否は資金調達に大きく依存していることを踏まえると、新規開業企業の金融円滑化は、解決が待たれている重要な課題の一つであると考えられます。

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