星野 藍子

HOSHINO Aiko

2023年度採用

名古屋大学
医学系研究科
講師

専門分野

リハビリテーション
作業療法
精神医学
社会福祉

キーワード

重度精神障害
作業療法
リハビリテーション
うつ
統合失調症

所属学協会

世界作業療法士連盟
日本作業療法協会
日本うつ病学会
日本産業衛生学会

主な研究内容

統合失調症や気分障害など重度の精神障害を有する方(Serious Mental Illness: SMI)の地域生活や就労への参加を目標とし、研究を実施している。本人の望む生活や活動への参加から孤立やQOLの低下を防ぐことに主眼を置き、大きくは次の二つの観点から研究を行っている。
第一の視点は、統合失調症を有する方の地域生活支援、社会参加支援である。統合失調症はその症状や様々な機能障害などにより生活上・就労上の困難、地域生活の継続の困難をもたらす。またその結果、統合失調症を有する方の社会参加の場は限られ、狭小化した生活や活動、人間関係にとどまりやすく、QOLや自己有能感は大きく低下、社会的孤立に至ることが報告されている。これまでの研究では、活動と生活、社会参加をテーマに、地域での生活の実態調査を行ってきた。また現在、カナダで開発されたパターン化した受動的な生活を変化させるための介入手法を用い、介入研究を実施している。
第二の視点は、うつ病をはじめとする気分障害に対する復職支援・家事や育児などの家庭内労働支援である。うつ病では抑うつをはじめとする症状や特有の思考により、日常生活の継続が困難になる場合が多い。またこれらの生活の継続困難は様々な関係性の寸断にもつながりやすく、孤立に至るケースも多い。これまでの研究では、それらの実態調査、復職にかかわる因子の検討、介入効果の検証を行ってきた。さらに現在は企業での一次予防の観点から、企業の検診データを利用し、予防モデルの策定を目指している。

論文

Hoshino Aiko, Asakura Tatsumi, Cho Kilchoon, Murata Natsumi, Kogata Tomohiro, Kawamura Masashi, Kito Aki, Kato Urara, “Preliminary study of time estimation of daily activities in patients with chronic schizophrenia by questionnaire survey”, British Journal of Occupational Therapy, Volume 83, Issue, 752-760,2020.

Ichiro Kutsuna, Aiko HoshinoCorresponding Author, Ami Morisugi, Yukari Mori, Aki Shirato, Mirai Takeda, Hikari Isaji, Mami Suwa, “Relationship between emotional words in electronic medical records and leave periods of users of a return-to-work program with depression”, British Journal of Occupational Therapy, Volume 85, Issue12, 2022, https://doi.org/10.1177/03080226221107773

研究紹介

researchmap https://researchmap.jp/read0142700/
名古屋大学医学部保健学科作業療法学専攻ウェブサイト https://www.met.nagoya-u.ac.jp/OT/sh/staff/8.html

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

重度精神障害者の社会的孤立の関連因子および社会構造の解明

Serious Mental Illnessと呼ばれる重度精神障害者(以下SMI者)の社会的孤立は全世界共通の課題である。精神科医療及び薬剤の発達により、SMI者の大半が地域生活を送るようになった。しかし就労や生きがいとなるような活動を通した人間関係を築けず、SMI者が社会的孤立に至る割合は一般人口と比較し極めて高く(Jenkins, 2022)、抑うつや自殺との高い関連もある(Dell, 2019)。一方で本邦では,未だSMI者および一般人口のいずれにおいても社会的孤立にアプローチする実効性のある戦略は非常に乏しい。

本研究では、国際的チームにより、医学的視点のみならず、学際的視点から社会構造や障害者施策、文化面などマクロなレベルでの調査を行う。それらの結果を基に、この課題に対するアプローチ手法やモデルの開発、それらの社会実装までを視野に入れ、展開する。

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