辻河 高陽

TSUJIKAWA Koyo

2023年度採用

名古屋大学
高等研究院/大学院医学系研究科
YLC特任助教

専門分野

神経内科学
ゲノム生物学
実験病理学

キーワード

神経変性
タウ
認知症
パーキンソン症候群 
筋疾患

所属学協会

日本神経学会
日本内科学会
日本神経科学会

主な研究内容

脳内のタウ凝集を特徴とする神経変性疾患をタウオパチーと総称し、世界最多の認知症であるアルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)や多彩な神経・精神症状を示す進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy: PSP)が含まれる。ADでは、アミロイドβがタウ凝集を促進する病態が知られており、近年ではアミロイドβを標的とした治療戦略に期待が高まっている。一方で、PSPを始めとするAD以外のタウオパチーではタウ凝集の制御機構に未だ不明な点が多い。最近、我々は、一卵性双生児PSP同時発症例やタウオパチーの日本人大規模コホートのゲノム情報からアクチン結合蛋白filamin-Aに着目し、細胞・動物実験によりfilamin-Aに依存的なタウ凝集機構を報告した。現在、filamin-Aトランスジェニックマウスに対してエピゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、フェノミクスを実施し、多階層のオミクス・データを統合して解析している。また、ヒト疾患iPS細胞に対してAIを活用したハイスループットかつ高精度な形態解析にも取り組んでいる。更にfilamin-Aを標的とする候補化合物を同定し、タウオパチーにおける独自性の高いトランスレーショナル・リサーチを展開している。

 

論文

Tsujikawa K, Hamanaka K, Riku Y, et al. Actin-binding protein filamin-A drives tau aggregation and contributes to progressive supranuclear palsy pathology. Science Advances. 2022;8:eabm5029.

Tsujikawa K, Hasegawa Y, Yokoi S, et al. Chronological changes of 123I-MIBG myocardial scintigraphy and clinical features of Parkinson’s disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015;86:945-51.

研究紹介

researchmap https://researchmap.jp/koyo_tsujikawa
名古屋大学神経内科YouTube https://www.youtube.com/watch?v=sRugilLcR3s

本事業を通じて解決を目指す世界的課題

ゲノム情報と力学的動態に着目したタウオパチーに対する創薬研究

タウオパチーの発症は患者個人の健康被害だけではなく、家族への介護負担が大きい。今日の世界的な高齢化において、その患者数の増加は社会的・経済的な影響が極めて大きい。タウオパチーの有効な治療開発は急務であるが、国際的な激しい開発競争にも関わらず、未だ成功例が少ない。そのため開発には革新的な病態解明と国際研究ネットワークの構築が重要であると考える。本事業を通して、1)製薬企業・バイオテックとの産学連携によるタウオパチー創薬、2)物理学との融合研究によるタウ凝集の力学的動態の解明、3) タウオパチー国際ゲノムコホートとの連携の3項目を強化する。本事業は、単一シードの臨床応用を目指すためだけではなく、連続的な挑戦を可能にする創薬基盤を形成する意義がある。

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