T-GExでの出会いと挑戦が広げる研究の可能性T-GExアソシエート 市川 俊輔さん

 

教育学部に所属しながら、「腸内細菌」の研究を進める市川さん。多様な分野の研究者との異分野共同研究や企業との連携活動にも積極的に取り組んでいます。3年間のT-GExアソシエートを経て、2026年4月からは金沢工業大学 バイオ・化学部/ゲノム生物工学研究所の教授として着任されることが決まりました。

── ご栄転おめでとうございます!ご転出前の今のお気持ち聞かせてください。

金沢工業大学では教授として着任することになりました。最大限の評価をいただき、とてもありがたい気持ちです。現在進めている研究やさまざまな共同研究の関係も、そのまま継続していくことができるのでホッとしています。引き続き、研究をさらに発展させていきたいと思っています。

──3年間、あっという間でしたね。 T-GExに応募した理由や当時の心境、教えてください。

T-GExの公募については学内メールで知りました。少し考えましたが、研究室に籠っていてもできることは限られますし、私はチャンスがあればどんどん外に出て挑戦したいタイプです。「これは面白そうだ」と思い、あまり深く考えずにノリで応募しました(笑)。

── ノリ(笑)。不安に感じることなく、ポジティブな気持ちで応募されたのですね。

そうですね。名古屋大学のすごい先生方と一緒に研究できるなら、自分の研究もきっと発展するはずだと思いました。不安が全くなかったわけではありませんが、「やってみてダメだったら、そのときはごめんなさいと言えばいい」と思っていました。自分から外に出て、チャンスをつかみにいかなければ、という気持ちでした。

── だからこそ、T-GExのさまざまなオンラインセミナーや対面イベントなどにも多く参加されたのでしょうか。

研究室運営の悩みもありますし、PIとして必要な知識を取り入れたいと思い参加しました。オンラインで参加できるセミナーを多く設定していただいたのは本当にありがたかったですね。また、リーダーシッププログラムやリトリート合宿など、多くのネットワーキングの機会もあり、とても楽しかったです。

── リーダーシッププログラムでの「キャリアアップのためのアクションプラン」は、とてもしっかり取り組まれていて講師の方も感銘を受けていましたよ。

私にとっても非常に印象に残っている取組でしたので、この場で是非お話ししようと思っていました。私はいわゆるキラキラ系研究者ではなく、研究も含めて着実に進めていくタイプです。実はこれまでも簡単な計画メモのようなものは自分で作っていました。ふと思いついたことを書き留めておき、それを実現可能な形に具体化していくんです。リーダーシッププログラムでは、それをキャリアアップでより計画的に、さらに緻密に組み立てることができました。おかげで、自分の計画の精度が高まったと感じています。

【市川さんの簡単なメモ】普段、ふと思ったことや感じたことなどをとりとめなく書き留めている市川さんのメモ。これをベースに具体化し、緻密な研究計画へと発展させていくそうです。

 

── その他に印象に残っている取組はありますか?

きっと誰に聞いてもそう言うだろうなって思いますが、「シーズ共同研究費」です。これは非常によかったですね。アイデアベースの共同研究を試すことができるのは非常に魅力的でした。

── 市川さん、毎年応募されてましたよね? しかも、毎回違う先生と。

2023年に1件採択、2024年に2件採択、2025年も1件採択いただき、毎回異なる先生と応募させていただきました。自分の研究テーマが、他の先生方の研究と融合しやすかったのかもしれません。T-GExの先生方は異分野融合に前向きな方ばかりなので、共同研究も進めやすかったです。打合せもしっかり行いならが進めることができました。しっかりお互いやることを確認しながら進めることができました。これらの共同研究は今後も継続していきたいと思っています。良い仲間に恵まれました。

── 多くのプロジェクトを同時に進めていくのが、市川さんのスタイルでしょうか。

私は創発研究や基盤Bのような大型研究費をドカンと取るタイプではありません。なので、複数のプロジェクトを同時に走らせるスタイルをとってきました。数が増える分忙しくはなりますが、そうやって少しずつ研究を実装していく形ですね。

── リトリート合宿でも、そのお話をテーマに発表されていましたね。

そうですね。こういう研究スタイルもあるということを紹介できればと思い、思い切って包み隠さずお話ししました。

2023年9月4-5日とホテルリソル岐阜にて開催されたリトリート合宿の様子(写真前列の一番左が市川さん)。「T-GEx研究者ネットワークを作ろう」をテーマに、多くの企画を通して参加者同士の交流が深まりました。その他、市川さんにとっては、プログラムの後に夜遅くまで続いた交流の時間も、市川さんにとってとても印象深いひとときだったそうです。

 

── T-GExで学んだことやさまざまなネットワークなど、市川さんの今後にどう活かされますか?

研究、という意味ではシーズ共同研究費での共同研究をそのまま維持して、さらに発展させていきたいな、と思っています。研究は一人ではできませんので、さまざまな人と連携して進めていきたいですね。また、T-GExではいろいろなことに挑戦し、実践する機会をいただきました。体系的なトレーニングを通して経験値が上がり、「自分でもやれる」という実感が得られたことは大きかったと思います。おかげで、いろいろなことに対してあまり臆することがなくなりました。

市川さんの研究室ロゴ「環境中の多様な微生物が互いに関わり合いながら存在している様子」を表現しているというこのロゴ。まるで市川さんの研究スタイルや生き方を象徴しているかのようです。 (市川さんHPより引用)

 

── 力強いお言葉ですね。最後に、T-GExフェロー・アソシエート・企業アソシエートのみなさまにメッセージをお願いします。

T-GExの魅力は、有名な先生方と直接お話をしたり、共同研究につながるチャンスがあることだと思います。本当に素晴らしい取り組みだと感じています。また、さまざまなセミナーも数多く開催されていますので、あまり考えすぎず、まずは気軽に参加してみるとよいと思います。負担感もそれほど大きくありませんし、カジュアルな雰囲気で参加できます。私自身、とても楽しく参加させていただきました。

 

── チャンスがあればまずやってみる——そんな積極的な一歩から、多くの共同研究や新たなネットワークを広げてきた市川さん。穏やかな笑顔の奥にあるたゆまぬ努力と前向きな姿勢がとても印象的でした。金沢の地でも、市川さんの研究がさらに広がっていくことを楽しみにしています。今後のご活躍を心から応援しています。

 

インタビュー:熊坂真由子(学術研究・産学官連携推進本部URA)
文:坪井知恵(学術研究・産学官連携推進本部URA)


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