困った時のT-GEx!!!!T-GExフェロー 平島 一輝さん

2022年、岐阜大学高等研究院の若手研究者プログラム「G-YLC」より、初のT-GEx採択者として選ばれた平島さん。ミトコンドリアのエネルギー代謝を標的とした新たながんの治療の研究に取り組んでいます。4年間のT-GExフェローを経て、2026年4月より徳島大学フォトニクス健康フロンティア研究院栄養代謝シグナル学ユニットの准教授として着任されることが決まりました。

── 2022年からもう4年!あっという間でしたね。

本当に、ついこの前のことのように感じます。いろいろとお世話になりました。4月からは徳島大学の新設部局で、独立した准教授として研究室を主宰することになります。

── 改めてご栄転おめでとうございます!ご出身も徳島でしたよね。

ありがとうございます!はい、出身も徳島県です。実家と徳島大学とは少し距離はありますが、同じ県内で研究ができるのはありがたいです。新設の部局ということもあり、研究室もゼロから立ち上げていくことになります。特任助教やテクニシャンの採用も含めて、自分のやりたい研究に合わせた環境を、一から作っていけるのが楽しみです。

──どこか、故郷に錦を飾るようなご縁ですね。では少し遡って、T-GExに応募した当時のことを教えてください。

正直に言うと、当時はT-GExの全体像をよく理解できていませんでした。「世界課題を解決する知の『開拓者』育成事業」というタイトルから、何か大きなことに関われるのでは、という漠然とした期待がありました。また、さまざまな分野の先生方と一緒に取り組むという点にも惹かれて、「なんとなく面白そうだな」と思って応募しました。

── 2022年度は、ちょうどT-GExが本格的に走り始めた頃でしたね。

運営の方々の「支援しよう」という熱意を、とても強く感じたのが印象的でした。岐阜大学からは私一人での参加でしたが、運営のみなさまから常に声をかけていただき、自然に馴染むことができました。あのサポートがなければ、きっと戸惑っていたと思います。

── よかったです。実際にさまざまなプログラムに参加されましたが、いかがでしたか。

すべてのプログラムが勉強になりましたが、一番感じるのは、視野が大きく広がったことです。新しい知識を得るだけでなく、自分がこれまで気づいていなかった視点に出会えたことが大きかったですね。例えば「段取り」の重要性です。T-GExが開催した国際シンポジウムの幹事として運営に関わる機会もあり、全体を俯瞰して考える力を学ぶことができました。それから、プログラム期間中に家庭環境も大きく変わりました。

── そうでしたよね!お子さんが産まれて、変化はありましたか?

はい、まさに激変でした(笑)。時間の制約が増え、子どものお迎えの時間に合わせて行動するようになりましたね。大学内の保育施設にもお世話になりましたが、思うように研究が進まず悩むこともありました。

【お子さんと遊ぶ平島さん】 T-GEx参加中に二人のお子さんに恵まれた平島さん。お子さんを背負ってあやしながら実験を行うこともあり、揺れながらピペット操作をこなす“技”を身につけたといいます。

 

── 子育てとの両立は大きな課題ですよね。

本当にそうですね。そんな中で印象に残っているのが、榊原先生(名古屋大学大学院生命農学研究科 教授|元T-GEx実務担当者)の子育てについてお話しいただいたロールモデルセミナーです。実例を知り、「こういう道もある」と思えるだけで、気持ちがとても楽になりました。また、他のセミナーも動画で後から見られるようにしていただけたのは、本当に助かりました。子どもの保育園のお迎えの時間が決まっているので、日中は参加が難しくて。夜に自分のペースで視聴できるのはありがたかったです。

【榊原先生のロールモデルセミナー】育児と研究の両立を経験された立場からのご講演でした。(写真前列右側の白い服が平島さん)

 

── 時間のやりくりが難しい状況の中で、うまくプログラムを活用されたのですね。

そうですね。セミナーの内容が自分に染み込むのは、やはり当事者になったときだと感じています。だからこそアーカイブがあることで、必要なときに何度でも見返せて、そのたびに新しい発見があります。困った時こそT-GExでした(笑)。

── 逆に、T-GExに参加していて負担に感じることはありましたか?

負担に感じたことはなかったです。逆に研究に煮詰まった時に参加できていたので、とてもよい気分転換になっていました。オンラインで柔軟に参加できるよう配慮していただいたのも大きかったです。

 ── T-GExでの経験は、今後のキャリアでどう活かせそうですか?

まずは研究室運営の「考え方」です。「研究室を主催するとは何か」「リーダーシップとは何か」という点についてセミナーで学び、そのフレームは今後確実に活きると思います。もう一つは、人とのつながりです。T-GExの国際力強化支援でいただいた資金をもとにベルギーへ渡り、現地で飛び込みでプレゼンテーションを行ったのですが、ありがたいことにそれが共同研究へと発展し今でも続いています。非常に貴重な経験につながりました。改めてT-GExプログラムおよび運営のみなさまに感謝しています。

【ベルギーの街並み】 T-GExの資金を持って飛び込みで訪れたベルギー。共同研究を始めるキッカケとなり、現在は空間メタボロミクスの共同研究を実施中。その結果、科研費の国際共同研究強化の採択にもつながったそうです。(撮影:平島さん)

── 今後の夢を教えてください。

いくつもありますが、まずは自分の研究の「根本」に迫ること。そしてもう一つは、これから研究を志す人たちにポジティブな影響を与えられる存在になることです。自分自身だけでなく、周囲の人の人生にも良い影響を与えられるような研究者でありたいと思っています。

── やさしさを感じますね。最後に、T-GExフェロー・アソシエート・企業アソシエートのみなさまにメッセージをお願いします。

「困ったときのT-GEx」、この一言に尽きます(笑)。自然な形で基礎力を底上げしてくれる、とても良いプログラムです。参加されている先生方も、運営の皆さんも本当に温かく、安心して取り組める環境だと思います。

 

── 研究、子育て、そして新たな挑戦。さまざまな経験を重ねながら歩んできた4年間は、きっと平島さんの研究者としての礎になっているはずです。困ったときにはT-GExを頼り、学びを得ながら歩んできた平島さん。徳島の地で始まる新しい研究室から、どんな発見が生まれていくのか――これからの活躍を心から応援しています。

 

インタビュー:熊坂真由子(学術研究・産学官連携推進本部URA)
文:坪井知恵(学術研究・産学官連携推進本部URA)


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