このイベントは終了しました。
多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。

本事業のT-GExフェローとアソシエートが推進している先端研究に関しまして、これまでの研究成果および成果物を発表させていただき、幅広い参加者(異なる専門分野の研究者あるいは研究者以外の方)に研究の意義をご理解・共感いただくと共に、今後の発展に向けたアドバイスをいただくことを目的としております。
今回の研究成果エキシビションでは、「分野の壁を超える」を開催テーマに掲げました。現代社会が複雑化・多様化する中、一つの学問領域に閉じたままでは世界的課題への解決の糸口が掴めない時代になっています。そうした多層的なアポリアに取り組むためには、分野の壁を超えた学知を生み出す重要性が益々増していると言えます。

そうした背景から、第2回目となる今回のエキシビションでは、分野を超えた交流や新たな共同研究を創出する場となるよう試みたいと考えています。講演会では、文系1名・理系1名の計2名の先生をお招きし、異なる分野の研究者による分野の壁を超えたディスカッションを実施いただきます。また、ポスター発表では、フェロー・アソシエートに加えて一部連携企業の若手研究者にもご参加いただき、自らの専門領域以外の方にも伝わる発表を目指すことになっています。

開会の挨拶

杉山 直(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 総長)

特別講演 & パネルディスカッション

特別講演

探究心と好奇心が導く分野横断とイノベーション

講演者

上村 想太郎 氏(東京大学)

研究分野は文系理系に関わらず、細分化されていく方向に進んでおり、科研費の分野区分では小区分では300もの分野に分かれている。さらに論文の著者数が年々増加していることからも、分野横断が積極的に起こっていることが示唆される。一方で、分野横断は必ずしなければならないことではなく、研究の探究心と好奇心によって結果的に起こるものと考えられる。どのようなケースで分野横断が行われているのかについて紹介し、議論を深めたい。

特別講演

専門バカになろう

講演者

大山 泰宏 氏(放送大学)

異分野間の総合や協働,越境が言われて久しい。しかし大学では,広い学識を得る教養課程は骨抜きにされてしまった。私たちは,果たしてほんとうに「分野の壁」を超えることができるのか。デカルトのような多才な知の巨人は,専門分野を超えようとしたわけではなかった。ただ自分の専門に深く沈潜していったのみである。今こそ私たちは,専門バカになろう。専門バカを自覚する無知の知こそが,他分野への謙虚な感性を蘇らせてくれる。

パネルディスカッション


ショートプレゼンテーション & ポスター発表

ショートプレゼンテーション


ポスター発表

紙ポスターに加えて試作品や動画など展示品の御用意もありますので、オンサイトならではの深い議論を御楽しみください。


挨拶

王 志剛(国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 副学長)


リトリート合宿に関する表彰


感想

安浦 寛人 プログラム・ディレクター(JST 世界で活躍できる研究者育成プログラム総合支援事業)


閉会の挨拶

門松 健治(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 副総長)


開催場所

名古屋大学 東山キャンパス
物質科学国際研究センター「野依記念学術交流館」
名古屋市千種区不老町 TEL:052-788-6121

キャンパスマップ野依記念学術交流館は「E3①」です。

会場内観

  • 1F会議スペース(ポスターセッション会場)

  • 2Fカンファレンスホール(特別講演会場)

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お問い合わせ

T-GEx事務局(名古屋大学内)

t-gex[at]t.mail.nagoya-u.ac.jp

※メール送信の際は[at]を@に置き換えてください。

ポスター発表題目・アブストラクト一覧

氏名(所属) 題目・アブストラクト

大鐘 雄太

南山大学

金融と情報技術の融合が企業の資金調達にもたらす可能性

企業の資金調達がうまくいかない一因として、企業と資金提供者(例:銀行、ベンチャーキャピタル)とのミスマッチが挙げられる。この問題を解決する手段として、情報技術を用いた新しい金融サービスが近年注目されている。本発表では、企業の資金調達における現状と課題を概観するとともに、金融と情報技術の融合が企業の資金調達にもたらす可能性について報告する。

町田 奈緒士
田中 秀紀

名古屋大学/ 中部大学

性別への違和感と発達障害の傾向が精神的健康と自己理解にもたらす影響

トランスジェンダーとは、自らの性の意識であるジェンダー・アイデンティティが、出生時に割り当てられた性別に一致しない状態を指す。近年、トランスジェンダーの人々に発達障害を有する者の割合が高いことが指摘され始め、その割合は、トランスジェンダーではない人々(シスジェンダー)と比較すると、10倍であることが示されている。発達障害とは、発達のアンバランスがあり、人とのコミュニケーションに支障をきたしやすく、日常生活に困難を抱えやすい障害である。 こうした背景を踏まえ、性別への違和感と発達障害傾向の各要因が精神的健康と自己理解にもたらす影響をみる質問紙調査を実施した。本発表では、その予備的な結果を報告したい。

星野 藍子

名古屋大学

労働者の心の健康を守る包括的予防モデルの構築

メンタルヘルス不調による休職者数は増加の一途である。一方で、労働現場や家庭でのストレス予測因子の解明やそれに基づく予防モデルの確立は未だ達成されていない。業種横断的に実施した縦断調査および今後の計画について紹介する。

服部 祐季

名古屋大学

ミクログリアの脳移入経路・定着の場と性質多様性

胎生期の大脳原基におけるミクログリアの機能は、神経系細胞の分化・成熟の制御、血管形成のサポートなど多岐にわたる。またこれらの機能は、大脳原基の特定の領域でそれぞれ果たされる。一方、近年のシングルセル解析の発展により、ミクログリアには遺伝子発現的にも多様性があることが分かっている。そこで本研究では、「ミクログリアがいかにして性質・機能多様性を獲得するのか」について理解することを目指し、ミクログリアが脳にたどり着くまでの経路や時期の違い、脳定着後に周辺の環境に呼応して特有の性質を獲得する可能性を検証し、その実態を明らかにする。

横井 暁

名古屋大学

EV解析による女性のトータルヘルスケア課題解決

ヒト体液中に含まれる細胞外小胞(EV)は、病態に応じてプロファイルが変化することが知られており、様々な応用が期待されている。女性の健康に関わる問題は近年大きく変化しており、様々なライフステージで生じる問題を、EVという観点から一元的に検討することで、その課題解決に貢献することを目的とする。血液や尿、卵胞液や羊水、癌性腹水など、課題に合わせた体液の解析を行い、実地医療へ貢献できる知見の集積を目指す。

辻河 高陽

名古屋大学

神経筋疾患の小児発症と高齢発症をつなぐ分子病態の解明

神経筋疾患を高齢期に発症した患者をゲノム解析し、稀に、重篤な小児期発症疾患の原因遺伝子上にナンセンス変異やコピー数異常などの重篤なゲノム異常が判明することがある。これらの症例には、症例毎に軽症化・晩発化する分子機構が存在すると考えられ、その機構は疾患の治療標的として有望である。我々が取り組んできたタウオパチーや先天性ミオパチーにおける研究成果を紹介する。

近澤 未歩

名城大学

腸管免疫系の制御を介した疾患予防の可能性検証

腸管免疫系は感染症予防などに重要であるが、疾患など様々な生体応答に関与することが知られる。食品が腸管免疫系を介して疾患に及ぼす作用を明らかにすることで、疾患予防や治療に寄与する知見を得ることが期待される。今回、生活習慣病と腸管免疫の関与に着目し、高スクロース食、高脂肪食など生活習慣病を誘導する飼料を与えたマウスにおける抗体特異性、免疫細胞の変化などについて解析を行った。

市川 俊輔

三重大学

価値創造を目指した新規微生物探索・機能解明

微生物は土壌圏・水圏・動物腸内をはじめ、あらゆる環境に生息している。たとえば食品の発酵や有機物分解での環境浄化など、多様な場面で私たちは微生物を活用してきた。しかしながら、地球上に存在する微生物のほとんどは、いまだ未探索でその特徴が明らかになっていない。難培養微生物培養・微生物菌叢の複合培養、メタゲノム解析・シングルセルゲノム解析、モデル動物を用いたスクリーニング系などを駆使して、未探索な新規微生物の機能を明らかにすることで、新たな価値の創造することを目指す。

BELLEGARDE Fanny

名古屋大学

Understand mechanisms of plant adaptation to nutritional stress to stabilize crop performance while reducing fertilization.

In Japanese agriculture, there is an old saying, 「苗半作」“Nae han saku”, meaning that half of the crop is determined by seedlings quality. Indeed, seedling production is an important process in crop cultivation. Plants can remember some environmental stresses. Nitrogen nutrition is a major environmental factor that regulates the growth and productivity of crops, but it is unclear whether plants remember a nutritional stress. My results strongly suggest that plants can remember nitrogen deficiency stress and react. Imprinting such memory, during seedling production process, would permit to create seedlings with both high yield and stress tolerance.

新谷 正嶺

中部大学

心筋サルコメア内生体分子動態のリアルタイム電子顕微鏡計測への挑戦

発表者は、心筋を温めるとサルコメアが熱振動状態(HSOs)になることを発見した。さらに、HSOsはカルシウム濃度変動下で、その振動の「振幅」「速度」を柔軟に変化させ、「周期」を一定に保っていること(収縮リズム恒常性)を発見した。発表者は、サルコメアとその内部のミオシンの自然な挙動を捉えるとため、自身で開発した、液中試料の構造と「動き」の「電子顕微鏡ライブイメージング法(DET膜法)」のさらなる改良を進めている。

東 直輝

名古屋大学

巨大なDNA分子を操作して高速に分析する技術の開発

本研究では,深さと幅をマイクロメートルやナノメートルにした小さな流路内で巨大なDNAを一分子毎に操作して,顕微鏡を用いて一分子をそのまま観察する手法を開発した.この方法は巨大なDNA分子の高速な分析に用いることができるため,近年問題となっている抗菌薬が効かない病原菌である薬剤耐性菌の感染源や感染経路の高速な特定に使用できる。

東 小百合

岐阜大学

特定の化学刺激を感知して溶けるヒドロゲルの開発

生体分子 (核酸、ペプチド、糖) は、配列や化学構造の設計次第で分子の集合が起こることでナノ・マイクロサイズの立体構造を自発的に構築することができる。本発表では、天然に豊富に存在する単糖: グルコサミンに化学修飾を施したグルコサミン誘導体が水溶液内で集合しナノ繊維を構築、巨視的には流動性の低いゼリー状物質 (ヒドロゲル) となること、さらにはそのヒドロゲルが特定の化学刺激に応答して溶ける例を紹介する。

田村 秀希

豊橋技術科学大学

ヒト視覚系の質感認知とその瞳孔反応

私たちは物体がどのような“質感”を持っているか(例:光沢があるか,魅力的に見えるか等)を瞬時に判断できる.この視覚機能は,物体を触る・持つといった適切な身体運動に不可欠である.今回は,光沢感と魅力を例に,質感のある物体を見たときに,私たちの瞳孔がどのように反応するかについて報告する.

市原 大輔

名古屋大学

衝撃波工学に立脚した環境・医療問題への挑戦

圧縮波の一種である衝撃波は,任意の媒体中に高温・高圧場を発生させることができます.このような波動特性を持つ衝撃波圧縮は,再突入機の技術的課題であると同時に,低侵襲医療機器におけるキーテクノロジーとなり得えます.私はこれまで衝撃波工学とプラズマ物理学を融合した「際みの流体力学」を提唱し,地球規模の医療・環境問題に挑戦してきました.本発表では,衝撃波・プラズマ物理学に関するこれまでの研究の概要と,医療・環境分野における異分野連携研究についてその進捗を御報告します.

西川原 理仁

豊橋技術科学大学

電気の力で流れを制御する

電気を通さない液体や気体に高い電圧を与えるとイオンや気液界面に電気力が作用し流動が発生する。この電気流体力学現象を利用すると、羽根車が回転する従来の機械式ポンプではできない熱流体制御ができるようになる。振動や騒音が発生しないポンプ、マイクロスケールでの流動制御、省エネルギーで繊細な流量制御、相変化熱輸送デバイスなどカーボンニュートラルに貢献する技術の開発を行っており、その取り組みについて紹介する。

木村 康裕

名古屋大学

電流を使った小さな金属繊維の創製

本研究では、電流を使ったところてん式押出技術によって、毛髪の千分の一以下の直径を有した金属繊維の作り方とそれに関わる研究成果について報告する。

宮武 広直

名古屋大学

すばる望遠鏡Hyper Suprime-Camによる標準宇宙模型の検証

天文観測技術の飛躍的発展により、2000年代には宇宙の進化を記述する標準模型が確立されました。この標準模型によると、既知の物質は宇宙の約5%に過ぎず、残りの95%のうち27%は暗黒物質と呼ばれる未知の物質、68%は暗黒エネルギーと呼ばれる未知のエネルギーで占められています。2010年代に入り、宇宙の大規模構造の観測によって、この標準宇宙論の綻びある可能性が出てきました。本発表ではすばる望遠鏡Hyper Suprime-Camによる宇宙の大規模構造の測定から得られた最新の結果を紹介し、標準宇宙論の綻びの可能性について議論します。

野崎 佑典

名城大学

エッジAIデバイスの物理解析に対するモデル保護技術

AI技術の利用が注目されている一方で、AIの社会実装における課題としてAIを使用することの安全性やセキュリティリスクが指摘されている。AIのセキュリティリスクに関して、AIモデルの生成は豊富な計算資源を活用するため、モデル情報(ニューラルネットワークの層、ニューロン数、重みパラメータの値、活性化関数の情報等)を保護することが重要である。本研究では、モデル情報を窃取する物理的解析に対する対策技術を開発した。

李 翰柱

株式会社デンソー

深層学習の継続学習の実現:脳科学アプローチ

DNNは更新時に過去データを再学習しないと破滅的忘却を起こすが、人間はその必要がない。しかし脳もネットワーク型記憶装置として考えられるのであれば、理論上、脳でも似た現象が起きるはずで、それを抑制する仕組みが存在すると考えられる。その仕組みを明らかにし、数理モデル化することを目標に、23年度からNeuroAI への取り組みをスタートした。研究戦略を紹介し、実験の途中結果を説明する。

濱田 克彦

株式会社デンソー

自動車ドライバーの状態推定における日常生活のログデータ(ライフログ)の活用

近年、スマートフォンやウェアラブルデバイス等の人の生活状況を常時計測・記録する機器が普及しており、人の行動ログや健康データの連携・利活用は今後益々盛んになると考えられる。本研究では、スマホアプリ・スマートウォッチにより記録した生活データによる運転中の状態推定の研究について報告する。眠気や疲労等の運転中の状態悪化は、運転中の状況だけでなく前日の睡眠状況や日中の行動等運転に至るまでの生活状況の影響がある。生活データを活用して運転中の状態悪化につながる生活上のリスクを発見し、生活状況の改善や運転中の状態改善により運転の安心安全に貢献する。

井頭 卓也

株式会社デンソー

セラミックエレクトレットの創成と静電ハーベスターへの展開

静電式振動ハーベスターへ適用可能なセラミックエレクトレットの研究開発を進めている。エレクトレットとは安定に静電気を保持する帯電材料であり、ハーベスターとして用いるには高い表面電位が求められる。今回、ペロブスカイト型ランタンアルミネートがkVオーダーの高い表面電位を発現できるエレクトレットとなり得ることを見出した。本発表では、ランタンアルミネートのエレクトレット性能とハーベスタへの応用について報告する。

井深 直人

愛知電機株式会社

サイリスタ式低圧自動電圧調整器(LTVR)

低圧配電線は電圧降下が大きいので、配電線が長くなる箇所への電力供給には高圧配電線が使用される。しかし、山間部のように負荷が少ない場合に、高圧配電線で電力供給すると、線路保守のコストが増加するという問題があった。 そこで、当社はサイリスタ式低圧自動電圧調整器(LTVR)を開発した。LTVRはタップ切換器に半導体を使用した低圧配電線用の自動電圧調整器で、低圧配電線の電圧降下を補償する装置である。本装置を設置することで、山間部のように配電線が長く末端に小負荷が接続された箇所の配電系統をより効率的・効果的に構成・運用することができる。

東井 周

ラクオリア創薬株式会社
(名古屋大学産学連携研究員)

新規網膜疾患薬(TRPV4アンタゴニスト)の創薬研究

当社では新規網膜疾患の治療薬として、TRPV4アンタゴニストの創薬研究を実施している。当社独自のTRPV4アンタゴニストである、RQ-317310 の網膜静脈閉塞症(RVO)モデルにおける薬効、作用メカニズムについて紹介する。